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次の景気後退がこれまでとは異なる理由

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次の景気後退を迎える準備はできていますか?

 

欧州、アジアから南北アメリカ、その間にある全ての大陸や地域で共通して、いま口にされることの多い言葉は「景気後退」です。グローバル規模での景気後退が起こるのではないかという懸念が高まっていることは、世界各地の政治的あるいは財務的な政策を見れば分かります。

 

米国では、最長記録を更新し続けている連続的な経済成長が終わりを迎えつつあることを懸念した連邦準備制度理事会(FRB)が、先手を取って利下げを決めました。また、トランプ政権は景気刺激策として給与税引き下げの可能性を模索しています。

 

欧州では、ドイツが注目を集めています。ドイツは2019年第2四半期にマイナス成長となり、景気後退を迎えつつあります。 長きにわたりEUの経済を牽引する原動力と考えられてきたドイツの景気後退は、英国のブレグジットに関する先行き不透明感とともに、欧州経済の破綻を招く可能性があります。

 

中国の経済も、不確実性が増しています。同国では最近、輸出振興策として過去最大の通貨切り下げを容認しました。 しかしトレーダーやエコノミストは、この中国の通貨政策は世界的規模での通貨安競争を引き起こす可能性があり、それ自体が景気後退につながりかねないと懸念しています。

 

ただ、景気後退を予測するのは極めて困難であるということを挙げておきます。 世界で最も優れた実績を挙げている統計学者の1人であるNate Silver氏は、2012年の著書 The Signal and the Noise において、景気後退を事前に正確に予測した人物はいないと述べています。 実際、景気後退が始まった後でさえ、エコノミストがその形跡を見落とすことも少なくありません。これだけ多くの情報筋が悲観的な予測を発表しているのは、景気後退が予測しにくいからということも理由の一つです。つまり、景気後退が来ると絶対的に確信している人はいませんが、今回は不意打ちされたくないと誰もが考えているということです。

 

あらゆる規模の企業にとって、景気後退をめぐる最近の議論は、関連性のある2つの懸念を示唆しています。

 

まず1つ目は、景気後退に対する計画は、景気後退が到来する前に用意しておかなければならないという認識を持つことです。 世界規模で景気後退が本格的に始まるまでに準備ができていなければ、組織と社員を守ろうと思っても既に手遅れです。

 

そして2つ目は、その計画を準備するにあたり、次の景気後退が前回とは根本的に異なるものになるという認識を持つことが重要です。 次の景気後退の際に、企業がワークフォースをうまく管理するためには、従来と全く異なるアプローチが求められます。

 

単純に社員数を削減し、景気後退が終わってからワークフォースを再構築するという方法は通用しません。

いわゆるグレート・リセッション(世界経済危機)の影響が本格化したとき、企業は従来どおりの対策を実行しました。コスト削減のために社員の解雇に着手したのです。 米国だけでも、2008年に260万人が職を失いました。 2010年には、その数は870万人に増加しました。

 

過去の景気後退では、企業は景気が悪くなると社員数を削減し、景気が上向くと再び採用するというアプローチを採ってきました。ところが今回は、これがうまくいきませんでした。

 

解雇を実施した多くの組織は、景気回復の局面において素早く動けない状態に陥っていました。 そうした組織では、熟練労働者の不足により、景気後退前のレベルに戻ることができなかったのです。より大きな問題は、素早く社員の解雇に動いたことで、企業のブランドに甚大なダメージを負ってしまったことです。この戦略をとった結果、景気後退後の市場で優秀な人材を採用する事が困難になりました。

 

次の景気後退を迎えるにあたり、このような長期的なトレンドも考慮した上で、ワークフォースに関する意思決定を行う必要があります。

企業は人員削減について、より戦略的かつ辛抱強く検討しなくてはなりません。

前回の景気後退では、いち早く社員を解雇した組織がアジャイルであるとして、対応の早さが称賛されました。 ところが、現在は当時と比べて労働市場が大きく変化しており、人員削減を急ぎすぎるとメリットよりもデメリットのほうが遥かに大きくなる可能性があります。

 

次の景気後退で「勝者」となるのは、組織の規模や社員の配置について思慮深く戦略的な判断ができる企業です。 そうした組織は、社員が持つスキル、それぞれが担当する役割、将来どのような貢献ができるかを把握するため、社員の詳細なアセスメントを実施しています。また、真に優秀な人材を解雇せざるを得なくなる事態を避けるために、人員の再配置や研修等を通じた学習といったアプローチを可能な限り活用します。

 

前回の景気後退は、社員エンゲージメントの慢性的な低下をもたらしました。

10年前の景気後退時に職を失わなかった社員の多くは、従来以下の給与で、より多くの成果を出すことを求められました。これは大きなストレスと不満を伴う体験でした。その結果、社員エクスペリエンス向上のために、あらゆる面で多額の投資がされたにもかかわらず、多くの社員が仕事への意欲を失ったままです。 実際、Gallupなどの情報源によれば、米国の労働者の3分の2近くが仕事への意欲を失っています。 この数字は、Gallup が米国の労働者を対象として仕事への意欲を調査しはじめた20年前から変わっていません。

 

景気後退が起こるかどうかにかかわらず、企業は、社員が大事にされていると感じるよう取り組むべきです。またプロフェッショナルとしての目標、個人としての目標、組織の目標を実現できるよう、自身の能力を開発し成長する機会を提供すべきです。 熟練労働者がこれほど貴重になっている労働市場では、このような取り組みは特に重要です。

 

次の景気後退では、リスキリング/アップスキリングがこれまで以上に重要となります。

 

熟練労働者の不足を受けて、変革や競争に必要なスキルを持つ人材を確保するカギはリスキリング/アップスキリングにあると主張する人々が増えています。 しかしながら、リスキリング/アップスキリングに関する様々なデータが示しているのは、企業はその重要性を認識してはいるものの、十分な対応ができていないということです。

 

大事なことは、次の景気後退では、単にできるだけ多くの雇用を守ろうと努力するだけでは不十分だということです。 企業は、俊敏性と順応性に優れ、新しいスキルを習得し新しい役割を担うことのできるワークフォースを構築しておかなければなりません。

 

会社と社員を守るためにできる最も重要なことの1つは、過去の経験から学ぶことです。 2008年の景気後退は、私たちの多くにとって、これまで遭遇したなかで最も困難な出来事の1つでした。 次の景気後退は、それと同じくらい困難なものになると思われます。

 

貴社は、そのような困難な状況に対応する準備はできていますか? 過去の景気後退から学び、新しいワークフォース戦略を採用する準備はできていますか?

 

これらの質問への回答がいずれも「はい」とならない場合、次の景気後退に対応する準備ができていないことになります。

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