【企業向け】退職代行への対応方法と注意点、対策を解説

#退職代行
近年、退職代行サービスを利用して従業員が退職の意思を伝えるケースが増加しています。企業側にとっては突然の連絡に戸惑うことも多いですが、適切な対応を怠るとトラブルに発展するリスクが高まるため、慎重な対応が求められます。本記事では、退職代行への具体的な対応方法や注意点をわかりやすく解説します。
目次
退職代行とは?
退職代行とは、従業員に代わって勤務先に退職の意思を伝える代行サービスのことです。近年では上司に直接退職を切り出しにくかったり、退職の引き止めにあって辞めづらかったりといった理由で利用が増えています。とくに20代から30代の若年層を中心に利用が増えており、SNSでも話題になることが多くなりました。
中には、過度なハラスメントや長時間労働といった深刻な労働環境問題を背景に、やむを得ず退職代行を利用するケースも散見されます。かつては異例の手段とされていましたが、働き方の多様化が進む中で、退職代行はひとつの選択肢として認知されるようになりました。
退職代行のおもな形態と特徴
退職代行サービスには、「弁護士型」「ユニオン型(労働組合)」「民間業者型」の3タイプがあり、それぞれ対応可能範囲と権限が異なります。
- 弁護士型退職代行
弁護士が対応するため、退職の意思を伝えるだけでなく、未払い残業代や退職金の請求など、金銭的な交渉を代理で行うことが可能です。企業とのトラブルが予想される場合や、訴訟に発展するリスクがある場合に選択されることが多いです。 - ユニオン型(労働組合)退職代行
労働組合の立場で会社と団体交渉が行えます。退職日や有給休暇の消化など、会社側との調整が必要な場合に利用されることが多いです。 - 民間業者型退職代行
最も手軽に利用できるため、初めて退職代行を利用する方に人気があります。ただし法律上の交渉権がないため、退職の意思を伝えることにとどまり、給与や退職金などの条件交渉やトラブル対応は基本的に行いません。
これらの種類ごとに対応できる範囲や権限が異なるため、企業としてはどのタイプの退職代行が関与しているのかを正確に把握し、適切な対応策を講じることが重要です。
退職代行を使われたときの対応方法

退職代行サービスを通じて退職の意向が伝えられた場合、まずは冷静に状況を把握し、法的な観点を踏まえつつ、従業員の意思を尊重した対応を進めることが重要です。
以下では、退職代行利用時の企業としての具体的な対応策を解説します。
代行業者の資格を確認する
退職代行から連絡があった際は、まずその代行業者がどのような資格を持つ団体なのかを確認しましょう。弁護士やユニオン(労働組合)であれば、退職条件についての交渉や法的対応が可能ですが、民間の業者は退職の意思伝達に限られ、交渉権はありません。
電話などで連絡を受けた場合は、業者名や担当者名を確認し、一旦通話を終了したうえで、その団体が正当な資格を有しているかどうかを調査したうえで折り返すのが望ましいです。無資格の代理人が交渉を試みた場合は、弁護士法違反になるおそれがあるため、慎重な対応が求められます。
従業員の意思なのか確認する
次に重要なのは、退職の申し出が本当に従業員本人の意思に基づいているかどうかの確認です。同意なしに第三者が一方的に申し出るケースはトラブルの原因となります。
そのため、企業としては退職代行からの申し出が正式に本人から依頼を受けたものかどうか、委任状の提出や印鑑証明などの書類の明示を求めるといった対応を取りましょう。
従業員の雇用形態を確認する
退職の受理や手続き方法は、従業員の雇用形態によって異なります。
- 無期雇用の場合
労働者には「退職の自由」が認められており、退職申し出後2週間経過すれば、雇用契約は自動的に終了します(民法第627条第1項)。 - 有期雇用契約の場合
原則として契約期間満了までの勤務が前提です。ただし、やむを得ない事情や、雇用開始から1年以上が経過している場合には、途中退職が認められることもあります(民法第628条)。
まずは従業員の契約形態を正確に把握し、法的根拠に基づいた適切な対応を行いましょう。
e-GOV|民法「第六百二十七条」「民法第六百二十八条」
(参照元:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)
退職届の提出と貸与品の返却を依頼する
退職の意思確認が取れたら、正式に退職届の提出を促しましょう。会社が正式に退職手続きを進めるうえで必要な書類です。あわせて、社用パソコンやスマートフォン、制服、入館用カードなどの貸与品の返却も依頼してください。
退職後に連絡が取れなくなるリスクを避けるため、連絡手段や返却方法について事前に確認しておくことをおすすめします。
退職届を受理して手続きを行う
退職届を正式に受理したあとは、社内での退職手続きを速やかに進める必要があります。社会保険や雇用保険の資格喪失届の提出、源泉徴収票の発行など、必要な手続きは多岐にわたりますが、漏れのないよう確実に対応することが重要です。
そのうえで、退職が正式に成立したことを文書やメールで従業員本人に通知し、必要書類の受け取り方法や最終給与の支給日などについて明確に伝えましょう。
退職代行を通じた退職の申し出を受けたときの注意点
退職代行サービスを通じた退職の申し出には、企業として慎重な対応が求められます。とくに、民間業者からの連絡や、従業員本人と直接連絡が取れないケースでは、法的な観点も踏まえ冷静に判断することが重要です。ここでは、企業が注意すべきポイントを解説します。
民間業者とは交渉しない
民間の退職代行業者には、法的な交渉権限がなく、会社への退職意思の伝達にとどまります。退職条件の調整や労働問題に関する交渉は、弁護士や労働組合にのみ認められています。そのため、業者から交渉を持ちかけられても、応じてはいけません。
交渉の依頼があった場合には、「退職の意思については本人と直接行う」と伝え、本人とのやり取りを原則とする方針を示しましょう。なお、無理に引き止めや交渉を試みても、従業員の復帰の可能性は低いことが多く、かえって企業の負担を増す可能性があります。不要な対応は避け、必要な手続きを冷静に進めることが重要です。
従業員への連絡は最低限にする
退職代行による申し出があった際、企業側が従業員本人と直接連絡を取りたくなるのは自然なことです。しかし、すでに退職を決意している従業員に対して、無理に連絡を取ろうとすると、精神的な負担を与えるおそれがあるため注意が必要です。
また、過度な連絡はパワーハラスメントとして問題視されるケースもあるため、注意が必要です。基本的には、退職手続きに必要な確認だけを目的とし、連絡は最低限にとどめましょう。
未消化の有給休暇を確認する
退職予定の従業員に未消化の有給休暇が残っている場合は、早急に対応方針を確認しておく必要があります。原則として、労働者が取得を希望した場合には、退職前に有給休暇を取得する権利があり、未消化のまま退職させることは労働基準法違反となる可能性があります。したがって、可能な限り、取得させる対応が求められます。
本人が有給休暇の取得を希望する場合には、できるだけ消化を促し、適切に取得させることが企業の義務です。法令を遵守した運用を心がけましょう。
退職希望者が退職代行を使う理由

退職代行を利用する背景には、「退職を伝えるのが面倒」といった単純な理由だけでなく、職場の人間関係や心理的な負担といった深刻な要因も多く含まれています。ここでは、従業員が退職代行サービスを選ぶおもな理由について解説します。
周囲の反応が気になる
退職の意思を伝えたときに、上司や同僚の反応を過度に気にする方は少なくありません。とくに、相談相手が職場にいない場合、悩みをひとりで抱え込んでしまい、退職の伝え方がわからず、結果として退職代行を利用するケースが見られます。
また、職場に波風を立てたくないという心理も働くため、精神的な負担を軽減し円満退職を目指せる手段として退職代行を利用する人もいます。
引き止めにあっている
退職の意思を伝えても、職場側からの強い引き止めによって退職が先延ばしにされることがあります。繰り返し説得されたり、感情的なやり取りが続いたりすると、精神的な負担が増し、自分ではもう退職を伝えられないと感じてしまう場合があります。
そうした状況下で、退職の意思を確実に伝えるために、第三者である退職代行業者への依頼が増加しています。企業としても、この引き止めが退職代行利用の一因になっていることを踏まえ対応のあり方を見直すことが求められます。
ハラスメントを受けている
職場でパワーハラスメントやセクシャルハラスメントを受けている従業員にとって、直接退職を申し出ることは非常に困難です。とくに、加害者が上司や人事担当者である場合は、社内での相談も難しく、外部の退職代行サービスに頼らざるを得ない状況に追い込まれるケースもあります。
退職代行を通じた退職の申し出が行われた際の改善点
退職代行を通じて従業員の退職の意思が伝えられることは、企業にとって望ましい状況とはいえません。従業員が直接申し出ることを避け、第三者を介して退職を進める背景には、多くの場合、職場環境や人間関係への不安、不満が存在しています。
こうしたケースを単なる一時的な出来事として片付けるのではなく、職場環境の改善や組織体制の見直しといった継続的な対策へとつなげていくことが重要です。
退職希望者が退職代行を使った理由を確認する
従業員がなぜ退職代行を利用したのか、その理由を把握することが重要です。たとえば、ハラスメントが原因であれば、同様の問題が社内に潜在している可能性もあり、早急な対応が求められます。また、上司や同僚との関係性、過重な業務負担、評価制度への不信感などが理由であれば、職場環境や人事制度の見直しも必要です。
なお、本人との直接連絡が取れない場合は、可能な範囲でヒアリングやアンケートを活用し、間接的に状況を把握する工夫も有効です。退職理由を正確に把握することで、同様の事例の再発防止につなげられます。
採用時のミスマッチを防ぐ
入社して間もない段階で退職代行が利用されるケースでは、採用時のミスマッチが原因の一つと考えられます。求職者のスキルや志向、働き方に対する価値観が、企業のニーズや社風と合致していない場合、早期離職につながるリスクが高まります。このようなミスマッチを防ぐには、採用プロセスにおいて企業の実情や職場の雰囲気を正確に伝えることが重要です。
また、採用業務の効率化とマッチング精度の向上を図るうえでは、外部の採用代行サービスを活用するのも有効な手段です。専門性の高いLHH採用代行サービスを活用すれば、応募者との適切なマッチングが可能となり、結果として定着率の高い人材の確保につながります。
まとめ
退職代行サービスの利用が増える中で、企業側としては冷静かつ適切な対応を取ることが求められます。同時に、なぜ従業員が退職代行を選んだのか、その背景を見つめ直すことも大切です。職場環境や人間関係、業務負荷などの課題を洗い出し、改善することが、組織の健全な運営にもつながります。
LHHでは、企業と求職者双方のマッチング支援を行い、定着率の高い採用の実現をサポートしています。退職代行が不要な職場づくりを目指すなら、LHHのサービス活用を検討してみてはいかがでしょうか。
